●整体は東洋医学でも人を観る

整体は“整体学・整体操法”という独自の理論と技術を持っており、それを元に人を観ていきます。
また、整体は”東洋医学”の「五行説」を用いて人を観る事もあるのですが、鍼灸のようなツボを重視する事はせず、「活点・急処」といった整体独自の箇所を用いて操法します。
今の日本の「医療」として認識されているのは、病院での治療であり西洋医学になります。
西洋医学と東洋医学とでは、思想が全く異なり、人体に対してのアプローチも全く違います。

どちらが良い悪いでは無く、どのような違いが有るかを簡単にご説明しようと思います。
※整体学上で重要視している部分の一部だけ抜粋して簡単にご説明してます。

●西洋医学と東洋医学との違い

★西洋医学★

西洋医学が「日本の医療」となったのが、明治維新からとされています。
(※約200年くらい前になります。)
人体を〇〇科とパーツ毎に細分化しています。
〇〇科と細分化した事で、その分野の専門性が高まり、新たな病気に対しての科学的な治療法の研究に特化した医学になります。

外科的処置や投薬といった治療が得意で、症状に対して診断ができ、〇〇病や〇〇症候群といった病名が付ける事ができます。
各症状の病気に対しての治療法に長けているので、病気を治す医学です。

人間を肉体と精神を分けて観ているので、精神疾患や未病といわれる症状に対しての処置に不得意だといったデメリットがあります。

★東洋医学★

中国で2000年以上前に構築されており、中国最古の医学書である「皇帝内経」と言われる著書を元に構成されている医学になります。
肉体と精神を分けて観る事はせず、「肉体+精神=人間」のように肉体と精神を合わせて人間と観ています。
内科的処置が得意で、病気に対しての処置でなく、身体の変化や異常を読み取る事を旨としており、一人一人の体をに観ていくので、同じ症状であっても人によって対処法は変わってきますし、〇〇病などの病名を付ける事はありません。

病気の原因を、西洋医学のようにウィルスや細菌だけでなく、自分の周りの外部環境や自分自身の体質が病気を引き起こすと考えています。
東洋医学は、病気が未病の段階で治療する予防医学になります。
肉体と精神を合わせて人間と観るので、精神疾患や未病といわれる症状に対しては得意としてますが、人間の本能的な部分を活かす事を重視しているので、症状の改善には本人の気持ち次第といった所がデメリットです。

●五行説(五行相生相克説)

「五行説」は、陰陽説と並び、東洋医学の基本理論になります。
”五臓六腑”とは、臓器の生理・病理とその関係性についてまとめた理論になり、整体でも非常に重要視している理論です。


東洋医学と西洋医学とでは、臓器そのものに対する考え方が違います。
西洋医学は解剖学を元に臓器の機能を独立して考えており、東洋医学は体内の臓腑が体外に表す様々な生理現象・病理現象の関係性は、臓腑をはじめ身体各部が相互に関係し、調和し合いながら、総合的に機能していると考えています。

五臓 : 肝 心 脾 肺 腎
⇒精気(栄養分)の貯蔵・生成・分泌などが主な機能
六腑 : 胆 小腸 胃 大腸 膀胱 (三焦)
⇒五臓の補佐をしながら消化・吸収・排泄などが主な機能

●五臓六腑

五臓と六腑は常に表裏一体で、各臓器事に対になっています。

★肝★

①精神活動を司る
人間の思考能力・思索活動を支配しており、行動力・判断力などの精神活動を司っている。
思考・思索活動に異常が出ると、ぼんやりとして、無気力になり、うつ病などの精神性疾患を患い易くなります。

②血液の貯蔵・解毒作用
貯蔵された血液を、筋肉・各臓器・脳に供給する役割を持っており、「肝は筋を生ず」という言葉があり、肝臓により筋肉は作られます。
血液の解毒は、主に睡眠時(夜の睡眠時)に行なわれます。
肝臓の異常は、生理不順・めまい・貧血・倦怠感などの疲労感からくる症状が出易く、筋肉の痙攣・関節の痛み・巻き舌などの筋骨系・神経系の異常も出易くなります。
爪にも症状が出易く、白濁・脆弱・薄くなる・変形・変色などの症状があると、肝臓の異常と言えます。

③目と肝臓の関係
目は肝臓によって養われており、肝臓に異常があると、かすみ目・ドライアイ・めまい・充血・目の下のクマなど、目の異常が出易く、また、目は心・腎との関係性も深いです。

④肝 : 胆は表裏(主従)関係
「肝」で思考・思索、「胆」にて行動力・決断力を司っており、「胆」の異常があると、決断力・行動力の低下に繋がります。
「胆」は胆汁と言われる液を生成・貯蔵しており、他の臓器の飲食物・大小便などの濁った液と違い、体内のみで生成される唯一、清浄な体液です。

★心★

①心=「心臓+脳」
頭の良さ、聡明さ、知覚、記憶、思考、判断などの人間の意識面を支配しており、五臓六腑の活動を統率している。
心に異常が生じると、貧血、動悸、恐怖、不眠、痴呆、うわ言、意識の混迷、悲観などの精神状態の乱れが現れ易くなります。

②血液を全身に循環・脈拍
血液を全身に送り出すと共に、脈拍の働きを支配しており、心と血脈の異常は、顔色の変色によって体外に生じる。

③心と舌の関係
心の異常は舌に症状が現れ、異常があると、赤くなり、言語がもつれ、味覚障害が生じる。
舌は脾とも関係が深い。

④心 : 小腸は表裏(主従)関係
胃で消化した飲食物の栄養分と老廃物を区分けしていおり、栄養分は脾に送り、老廃物は大腸・奉公に送る。
小腸(心)に異常が生じると、下痢・便秘、尿閉、血便などの症状が生じる。

★脾★

①消化器官
飲食物の消化・吸収と、栄養分を全身に輸送を管理しており、同時に体液も輸送している。
脾の異常が生じると、腹部膨張、下痢、便秘、消化不良、食欲不振などが起き、同時に体液の停滞も起こり、むくみ、下痢、小便不良、冷え性などの症状が起き易い。

②血液の機能を調整
脾は全身の血液の機能を管理している事から、免疫機能(リンパ節)と関係しており、四肢と全身の筋肉を支配している。
異常があると、血便、月経過多、子宮出血、生理不順、生理痛などが起き易い。

③脾と口の関係
脾の状態は口に症状が現れる。

④脾 : 胃は表裏(主従)関係
胃で飲食物を消化し、脾は栄養分を消化・吸収し、全身に輸送する。
胃は飲食物が集まる処でも有る為、働きが悪いと胃詰まりを招き「満腹の証」を起こす

★肺★

①呼吸作用
呼吸をする事で、飲食物の栄養と合成して「気(元気、やる気、根気など・・・)」を生成しており、人体の血液の循環や気血の調整をする事で、五臓六腑の活動の調整をしている。
肺の異常は、咳やくしゃみなどの呼吸困難では無く、疲れ易いなどの疲労感の症状が出易くなる。

②皮膚呼吸
皮膚は外界の気温や体温変化にしたがって、調節作用が働き、暑い時は体温を逃す為、肌を弛緩させて発汗を生じさせ、寒い時は体温を逃さない為に、肌を縮ませて毛穴を閉じる。
調節作用のバランスが崩れると、肌は体外に対する影響に弱くなり、肺の機能が低下する事で、臓器の抵抗力も弱くなり、病気に成り易くなる。

③肺と鼻の関係
鼻は肺の状態によって養われており、肺に異常が有る時は、鼻に異常が現れる。
肺の異常は、鼻水・鼻づまり・嗅覚障害などを起こし、さらに悪化すると、咳・くしゃみなどの呼吸困難が生じる。

④肺 : 大腸は表裏(主従)関係
小腸から輸送された老廃物を体外に排出する。
肺は体内の水分を下方に下降する生理的運動の方向性を支配している。

★腎★

①生殖能力と成長発育の精力の貯蔵庫
腎は人が生きる上で必要な生命力を司る
ホルモンの分泌を調整しており、男性/女性共に子供から大人へと成長し、男性は男らしく、女性は女らしく、というように成長発育は腎が管理している。
生殖能力の調整をしており、人体の生殖能力は腎が支配している。
精力が充実しており、成長発育も充実している事で、生殖能力が充実し子孫繁栄に繋がる。
ホルモン異常が生じると、生理不順、生理痛、不妊長が起き易くなる。

②体内の水分調整・老廃物のろ過
尿・汗など体内のあらゆる水分の調整は腎に管理されている。
水分調整に異常が生じると、下痢・便秘・残尿・尿失禁などに繋がり、また、汗をかかないと、尿の回数が増え、腎に負担を掛けるだけでなく、老廃物の排出が滞り、体臭や口臭に異臭を放つようになる。
生殖能力でも、生理痛・生理不順・早漏・遺精・精液不足・性欲減退などの症状が生じる。

③カルシウムの吸収
体内で、唯一、カルシウムの吸収が可能な臓器が腎臓になります。
「腎は骨髄を生ず」という言葉があるように、腎にてカルシウムを貯蔵し、骨を養っており、歯や骨、髪の毛など、症状が現れる。
骨髄の「髄」は神経を意味しており、“脳”とも関係性が非常に深い。

④腎と耳の関係
「腎気は耳に通ず」という言葉があるように、腎は耳に開孔しており、腎の異常は耳の症状として現れ易く、思考力低下、痴呆、めまい、視力低下、耳鳴り、難聴などが起き易くなる。
また、耳の異常が有る場合は、妊娠しにくい為に、腎の異常を解消して於く事が重要である。

⑤腎 : 膀胱は表裏(主従)関係
小腸から輸送された老廃物を膀胱に貯蔵し、排出する。

●五行相生相克説

五臓六腑の各々の役割を独立して考える事はせず、臓器同士が互いに調和を保ちながら役割を果している関係を「相生の関係」と言います。
その反対に、臓器に異常があった場合、他の臓器の機能を抑制している関係を「相克の関係」と言います。

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