源平討魔伝(FC版)

源平と馬伝。





アーケード、PCエンジン版で評価が高いこのゲーム。

ファミコン版では付属のゲームボードやカードを同時に使って遊ぶという余計な画期的なシステムで話題を集めた。

にもかかわらずなぜかファミコン版だけ評価が極端に低いのであえて挑戦してみた。

なお、最大4人までプレイできるらしいので、4人集めた。

レッドブルーイエローグリーンの4人で挑戦。文中セリフは色分けしています)

ボックスセット。 こんなん入ってたよ

一度でもプレイしたことのある人なら分かっていると思うが、このゲーム、

ズルしちゃえば簡単にクリアできてしまう。   例)呪文カード常に最強、敵出現させない

が、そこを武士道精神でまじめにプレイしてみた。
 
 

「よっしゃ、イエロー。説明書読んで。」

「えーと。まずストーリー。

平家復習絵巻

時は1192年、市政では強盗、物盗など悪行が蔓延り、日照りと大雨の繰り返しで作物は枯れ果てていた。
そして、人心惑い、地は荒れ果て、世は正に乱れ闇の中に陥れられんとしていたのである。
その闇の諸悪の根元を源頼朝という。彼は数多の魔族を従わせ、天下を自分の手で治めようと野望を抱いたのだった。
それを阻止せんと平家は全軍をもって戦いを挑む。しかし、魔力をふんだんに使う頼朝軍に対し、平家の力はその敵ではなかった。
平家の者達は、ことごとく討ち落とされ、哀れ、壇ノ浦のもくずとなったのである。
しかし、これを憂いた天帝は、三途の渡守、安駄婆に命じた。
『平家の亡者より、一人、剛の者を選べ。』
その名も、平景清といった。景清は、『ぷれいやー』なる異次元の者の布施により、地獄より蘇ったのであった。安駄婆は、景清に言い含めた。
『よいか景清、諸悪の王、頼朝を倒すには、魔族と戦わねばならぬ。だがな、曲玉、剣、鏡の3種の神器があれば、頼朝などおそれる必要はないのじゃぞ。』
景清は立った。頼朝を倒す為に。魔族を滅ぼす為に。世の乱れを平定するために。
めざすは京都、そして、鎌倉・・・。
 

「ストーリー長えなぁ」

「つまり悪の頼朝の政治に憂えた天帝が平景清を蘇らせて倒させるって話。」

「ようは、京都と鎌倉に行けばいいんだね?」

「他なんか、面白いこと書いてある?」

「えーと、『画面を光らせて遊ぼう!』

一同「(゜Д゜)ハァ?」

「タイトル画面が出たときに、セレクトボタンを押してゲームを始めると、戦闘シーンで画面が光ります!
 

「どうするソレ、使う?」

てんかんになりそうだよね」

ポ○モンかこのゲームは」
 

「あとは?」

「プレイヤー同志で年貢総数を競い合おう!

年貢かい」
 

「多人数プレイでは、参加したプレイヤー全員が景清となり、誰かが頼朝を倒した時点の年貢総数で勝敗が決まります

「年貢総数・・・」

「そういうゲームだったか?」

「国の支配は、プレイヤーだけで争うので、より過激な国盗り合戦が楽しめます。勝利への道は、打倒頼朝だ!」

なにやら、ゲーム目的が怪しい方向に・・・。

頼朝より、仲間倒した方がいいんじゃないの?」

「頼朝を倒したプレイヤーには、頼朝に封印された国の全ての年貢が与えられます。」

一同「おおー!」

「従って、頼朝を倒すと言うことが、そのまま勝利につながるという訳ではないのですが、より勝利に近づくことができるでしょう」
 
 

どうやら多人数プレイだと主人公平景清クンは闇の支配者頼朝を倒し平和を取り戻す英雄から、

年貢命のとんだ銭ゲバ野郎に成り下がる模様です。

頼朝倒すの思いっきりついで臭いです。

とどのつまり多人数プレイというのは銭ゲバ日本一決定戦だったようです。
 
 
 

天帝もさぞかし嘆いていることでしょう。
 
 

「他には?」

「魔物を操作し、他のプレイヤーを阻止しよう!!」

「そんなことも出来るんだ」

「一人が景清でプレイしている間、残りの人のうちの一人が、コントローラーUを使って、魔物を操作します。」

「おぉー。」

「Uコン使うんだ」

「景清や魔物役を交代しながら、ゲームを進めて行きましょう。」
 

「このゲーム奥が深くて面白いんじゃねーかって予感がしてきたよ」

「とかいってやってみたらやはりクソってパターンも。」

「ありますねぇ・・。」
 
 
 

「イエロー、説明書朗読サンキュー。まぁ、ルールはなんとなくわかったからやってみるか」

「とりあえず、年貢とったもん勝ちと」

「みんなで争うのはイヤだなぁ。みんなで協力して頼朝を倒そう」

「そうだね」

「んじゃスイッチオン」
スタート画面
燦然と輝く『COMPUTER BOARDGAME』の文字。

「コイツ主人公?」

「そうだよ。景清。」

「めちゃめちゃ怖いっすねぇ・・。当時の子供みんな泣いてたんじゃないすか?」
 

「プレイ人数4人で・・・名前入れるよ」

一人目 レッド
二人目 ブルー
三人目 イエロー
四人目 グリーン

4人の景清のスタート地点を指定され、いよいよゲームスタート。

レッド・・・周防国
ブルー・・・長門国
イエロー・・・豊後国
グリーン・・・豊前国

Tコン(景清)・・・レッド Uコン(魔物)・・・ブルー

プレイヤーは自分の順番開始時に「おみくじ」を引かされる。

おみくじの結果如何で難易度が大きく変わってくる。

「お、やった!大吉」

一同「やった!やった!ウキョー!!

これから歩む事になる修羅の道を予感してか、異様にハイテンションになる一同。

プレイヤーは殺風景なマップを歩き回り、魔物と戦い、銭(お金ですね)、徳(経験値のようなもの)を稼ぐ。

稼いだ徳を使って各国にある鳥居(?)で景清のレベルを上げる事が出来る。

魔物を倒したら城に向かい、城主を倒す。城主を倒したらその国はプレイヤーのものとなり、年貢(銭)が貰える事になる。

沢山国をもっていれば、夢の年貢生活(おおげさ)が始まるわけだ。
 

Uコンは「魔物渦巻(なんだそりゃ)」を操作する。この渦巻から「魔物印」が出現する。

魔物印と景清が接触したら、バトルとなる。
 

最初のプレイヤーレッドはザコ敵と数回戦ったが、「大吉」の効果かそれほど苦戦することはない。

レッドは城主との戦いを避け、次の国へ進む。
 

「次俺の番ね。おみくじは・・・・凶かよ!」

Tコン(景清)・・・ブルー Uコン(魔物)・・・イエロー

開始早々、Aボタンを連打し、敵を一気に出現させるイエロー。

「あ!お前!汚ねぇ!!」

汚いなどと言っても通用しない。連続バトル突入。

バトルはドラクエ風RPG画面で進められるのだが、

魔物はUコンが担当することになる。
 

景清のコマンド→「たたかう」「じゅもん」「にげる」
魔物のコマンド→「たたかう」「いちげきひっさつ」「とくしゅこうげき」

「ウッシャッシャ人食い虎だぜ?つまり人を喰うド○えもんだァ!!」

「くだらねー事言ってないで早くやれ!」

「お、一撃必殺使ったら自分(魔物)も体力減るじゃん」

「くそ、もう死にそうだ。なんかさっきより敵強ええ!敵の先制攻撃も多いし!」

「おまえ引いたから。」

そんなんで俺の運命もう決定かよ?納得いかねえ!!

魔物(イエロー)の猛攻撃をかわしなんとか国外を脱出。
 

Tコン(景清)・・・イエロー Uコン(魔物)・・・グリーン

運命のおみくじ。

イエローは見事大凶を引き当てる。

大凶のパワーはザコ敵をもボス級にする。
 

『とくしゅこうげき』の『毒液』!!

うぐぁぁ!

大蛙の吐く毒液にHPがいきなり半分近く減らされるイエロー。
 

一同「毒液怖ぇぇ!!

ボス級ザコ敵に苦戦しながらも、城主のところまでたどりつくイエロー。

「この国楽勝で頂いちゃうぜ?」

敵(グリーン)の猛攻をかわし、調子にのるイエロー。しかし・・・。
 

一同「うお!城主強ええ!城主強ぇぇ!!

ゲームバランスお構いなしの城主の猛攻撃にアセる一同。

「呪文カード使え!『命の水』は?」

「えーと・・・ないよ。わははは」

「笑ってる場合かよ」

「旋風剣は??さっき取ってたよね」

「え?旋風剣はねぇ・・・お、あった」

旋風ーーー剣!!!!
 

ポコッ。
 

一同「弱えーーー!!」

大凶の前には必殺剣も通常攻撃以下です。 あえなく黄泉の国に落とされるイエロー。

閻魔大王「生き返りたいか?」

「いいえ」

はやくもイヤになったのか突然戦線離脱しようとするイエロー。

一同「ちょっと待てコラ!」

「やる気あんのかよお前!」

「うそうそ。生き返りたいです」
 

黄泉の国に落とされると、スロット(のようなもの)をやらされる。
「生」「死」「無」などのマークがあって、
「死」が3つ揃うとスタート地点まで戻されてしまうが、うまくいくと呪文カードを取ることができる。

「お、助かった」

復活しなんとか城主を倒すイエロー。
 

Tコン(景清)・・・グリーン Uコン(魔物)・・・レッド

4人目。グリーン。

「やった!」

おみくじは大吉。

無難にバトルをこなし、城に行くことなく国をでるグリーン。
 

ここまで読んでくれた賢明な諸兄姉はすでにお気づきのことと思いますが、

このゲーム、おみくじの結果が全てです。

どんなに巧妙な作戦を立てようとも、強い呪文カードを多数所持していようとも、

大凶を引いた瞬間全て吹き飛びます。
 

4人1ターン終わったところで、現在のプレイヤーの順位が表示される。
 

「イエロー一位じゃん!」

「城とったからな。年貢貰えるんだよ」

「そっか、やっぱ城とんなきゃダメなんだ」

「なるほど」

今頃真実に気付く4人。
 

しかし、真の地獄はここから始まる。
 
 

このゲーム、多人数プレイだと明確に「人対人」の戦いになる。

しかもプレイヤーはただでさえ負けん気の強い我々クソゲー戦隊。

普段鬱屈していた対抗心がムクムクとわき上がる。

このゲームには我々を狂わせた何かがあったと思えてならない。
 

時間は草木も眠る午前2時、4人の男達を止めるものは何もなかった(後に一人脱落)。
 
 
 

↓スポーツマンシップにのっとった爽やかな戦いをくりひろげる20代半ばの男達の図。
 

「フハハハぬっぺら坊(魔物の名前)め!!『人食い愚地』の異名をもつこの俺様にかなうと思ったか!!」

「一・撃・必・殺!!死んでしまえ!!!」

「この魔物なかなか死なねえ・・!チッ(かなり本気の舌打ち)」
 

イエローが酔っぱらってUコンを握れないでいるスキに、ゲームを進めるブルー。

「てめえ!準備する前にやるのズルいぞ!!」

「このチャンスは逃させねえ!」

「ふざけんなてめえ!ズルすんじゃねぇ!!!」
 
 

普段は温厚で仲間の信頼も厚いグリーンも吠える。

「畜生!!呪文カード何回引いても旋風剣しかでねぇ!!」

「この餓鬼(魔物の名前)め!!墜ちろ墜ちろ墜ちろ!!!飢えてんじゃねぇぞコラ糞餓鬼!!!」
 
 

「イヒヒヒ、『特殊攻撃』の『かぜぶくろ』!!!!」

「あぁ?!」

城まであと一歩のところで風神に国外に吹っ飛ばされるレッド。

「マジかよォ!!!!」

「え、今どうなったの?」

「バシルーラ魔物に使われました。ていうか、使ったのオレですけどね。グヒョヒョヒョヒョ

「クソ野郎が!!ムカつくテメエ!!」

「後で覚えてろよ!次、イエロー。」

「・・んあ・・?」

酔っぱらっていつの間にか寝ていたイエロー。そのスキにまたゲームを始めるブルー。

「ちゃんとイエローが準備してからやれっつってるだろ!!!この(自主規制)!!!」

「あぁ?!マジでやろうって(自主規制)」

「×▽○の×★□ゞが(自主規制)!!!」
 
 

繰り広げられる罵倒に次ぐ罵倒。

協力してやろうという話はどこへ・・・。
 

しかしプレイ時間5時間も過ぎたころには、全員叫び疲れてしまった。

イエローはすでに酔っ払って寝てしまっている。

ここにきてこのゲーム最大の難点に気付く。

とても単調なのだ。
 

(スタート → 城を目指す → ザコ敵と戦う → レベルを上げる → 城主と戦う) × 4(4人プレイの場合)
 

これをひたすら繰り返すのみ。

途中際立ったイベントはない。

普通、ボードゲームと呼ばれるものは「短い時間でパッと盛り上がれる 」

というのが最大の魅力ではなかっただろうか。

クリアするまで6時間を要する(当然パスワードもバックアップもなし)ボードゲームは

もはや罰ゲームに等しい。

少年時代某名人に「ゲームは一日一時間!」と言われて育った我々には余りの仕打ちではないだろうか。
 

最後にプレイを終えての各人の感想。

「人間が相手だから、下手に汚いことできねーな。人間不信になった」

「そこそこ面白いといえなくもないかも。まぁ運(おみくじ)が全てのゲームだけど」

「単調すぎる。説明書のストーリーであれだけ前フリ書いといて何のドラマも無い」

頼朝(ラスボス)の攻撃方法が衝撃だった」

「あぁ、アレな」

ありゃ勝てないって正直思ったよ」
 
 

終了時マップ。外はもう朝

結論
まぁ頑張ればクリアできるし、友達相手に策略を弄したりして楽しめるかも。
出来の悪い信長の野望だと割り切って楽しむのもアリでしょう。
我々も前半までは大いに盛り上がってゲームを楽しむことができました。ええ、
 
 

二度とやりたくありませんが。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

↓おまけ。ラスボス頼朝の攻撃方法
頼朝アタック

メニューに戻る