フィフスエレメント2〜光と闇の王子〜(PC98,遊演体)
ジャンル:RPG
フィフスエレメント……といっても、この作品は、同名の著名なハリウッド映画とは一切関係ありません。
しかし、だからって、発売元の遊演体に「名前を真似た」と非難するのは筋違いでしょう。
このフィフス2の発売年は92年。映画の「フィフス・エレメント」が公開されたのが96年(推定)。
て、ことは、映画の製作者と、その映画をPSでゲーム化した札幌の某社等は、まかり間違えば遊演体に
おめえら、人様のゲームのタイトル名をパクってんじゃねえ
よコラァァァァァァァ!!
な〜んてどつかれても、恐らく文句は言えないわけでしょう。
でも、遊演体がそんな事したなんて事は聞いたことがないので、映画の製作者と札幌の某社にとっては幸運で
あったのかもしれません。
で、当の本作は同名の映画が大ヒットしたものだから、相対的にこの作品(正確にはこの「フィフスエレメントシリーズ」)
は、無名度(知名度の反意語)を高めて行きました。
そして、某ページで行われたアンケート「無名度帝王決定戦」において、見事一位を取り、今や
押しも押されもせぬ立派な「無名度帝王」として、マイナー
ゲームの世界にでかでかと君臨しております。
だがしかし、この作品、ただ「無名」だからといって、マイナーゲームの世界で「帝王」と崇められている
わけではありません(もしかしたらそう崇めているのは私だけかもしれませんが)。
このマイナーゲームの世界では、「無名」というステータスの他に、「完成度」というステータスも高くないと、
「帝王」と呼べるだけの尊厳は得られません。
そして、この作品は、Win版「英雄伝説4」と互角に渡り合ったことから、「完成度」という面でも十分合格ラインに
立っているを確信しております。
では、何で「英雄伝説4」と互角に渡り合えるっていえるのかって?
まあ、理由は色々とありますが、大きな理由の一つに、他のRPGとは違う独特の味わい
を持っているという事があげられます。
この竜王戦仕様のレビューでは、この作品におけるバカゲー的な側面を焦点において、
レビューしてゆきたいと思います。
まずはオープニングからご紹介致します。
ある日、とある領主の屋敷にやってきた一角人(その名の通り、額に
ユニコーンのような角が生えている)の男がやってきます。
その男は、その領主の息子(光の王子)にこういいました。
「(中略)光の王子よ、お前はこの原因(ここでは世界が崩壊しようとしている原因)を突き止めなければならない。」
(↑初対面に人物にいきなりこれか……。どうやら、一角人という種族はひとの迷惑を考えずに、人に物事を押し付ける習性
がある模様。まあ、こうでなければ竜王戦にこの作品をレビューする理由は無くなってしまうが)
そうして、この横暴な一角人の野朗は、「だが、今のお前の力では成し遂げることは難しい」だの
抜かした。
しかし、幸いにも、この男は某超大作のバカ国王のようにたった一人で竜王退治等に行かせる程、馬鹿ではなかった。
「お前の失われた弟(闇の王子の事)を探して、協力してこの謎を解かねばならない」
(↑また「must」かい。それが人に物の頼む態度ですかね?)
そんな私の突っ込みも、ゲーム画面の向こうの彼には伝わっているはずもなく、OPの最後に彼はこう言う。
「光と闇の王子よ、力を合わせて、世界の危機の謎を解くのだ!」
てめえ!!とっとと帰れこの野朗!!!!
と、まあ、いつまでもこの横暴な一角人に構っていると話がすすまないので、進めさせて頂きます。
ゲームを始めると、主人公(お約束にも、サブタイトルの「光の王子」の方)の名前の入力画面が出てきます。
この状態では、まだ普通のよくあるRPGでもよくある光景です。
ゲームが始まり、主人公が住んでいる豪勢なお屋敷の画面が表示された時も普通の画面です。
まあ、良く見ると、キャラクタのグラフィックが主人公キャラを除いて男と女の2パターンしかない
(但し一枚絵は除く。これはラストまで一緒)事に気が付きますが、これはこの作品の至る所に仕掛けられた
様々な洒落の代償だと思えば、安いものです。
で、その洒落ですが、スタート直後にも、2つの粋な洒落が仕掛けられています。
その最初の洒落は、主人公の両親にあります。
まずは主人公のお母さん。
最初に話すと「気をつけておいき」とお金をくれます。
2度、3度にわたって話し掛けてゆき(その都度言う台詞が違う。余談だがこの作品は重要な情報を持っている
人間でも、何度も話し掛けないと情報を喋ってくれない事はざらなので、一人の人間に対して何度も話し掛ける
姿勢はこの作品を解くにあたって重要な重みを持っている)、5回目位に話し掛けた時のことでした。
母は主人公に対してこういいました。
「冒険なんてやめてしまいなさい。お父さんには私から良くいってあげるから……」
ここで、「やめない」「やめる」の選択肢が出てきます。
普通なら「やめない」を選択するところですが、先ほどの横暴な一角人の野朗に制裁を食らわしてやりたい
気持ちから、「やめる」の方を選択。
すると、こんなメッセージが現れます。
「そうだ。冒険なんて嫌だ。村娘の結婚して、地味でも安全な
一生を送るんだ!!(自分に正直やねえ)
あなたは母の言葉にうなづいた」
そしてその後、案の定ゲームオーバーになってしまうのですが、何故か私の気分は爽快でした。
しかし、この母親のイベントも、隣で佇んでいる父親に関するイベントに比べれば、大したことはありません。
(上記の母親のイベントと似たようなものは、かの「ラブクエスト」にもあったと聞く)
父親もまた、母親と同様、話し掛ける毎に台詞が変わってゆきます。
そして五回目以降話し掛けると、父は息子に対してこんな厳しいことを言います。
「ええい!そう何度も、女々しく戻ってくるものでもないわ!」
そして主人公は親父の鉄拳制裁を食らい、HPが2減ってしまいます(以後、話し掛ける毎に親父から2の
ダメージをもらってしまう)。
ここで、Lv1での主人公の最大HPは20。10回親父の鉄拳制裁を食らってみたらどうなるのか、遊び心から
ちょっと試してみることにしました。
そして、10回目の鉄拳制裁を食らい、とうとう主人公のHPは0になってしまいました。
すると、
「…かくして、物語は終わった。その後、世界がどのようになったか、貴方は
知ることはできないまま……
運命の岐路で、貴方は誤った選択をしてしまった。…が、これも一つの運命なのだ」
というメッセージが表示され、ゲームオーバー。
主人公の実の父に、開始早々いきなり殺されてゲームオーバー
なんてのシーンがあるのは、私の記憶の中では本作位しか思い浮かびません。
このシーンを目の当たりにした時、私は素直にこのゲーム買ってよかった!
と(心の中で)狂喜乱舞し、製作者の方々に感謝の意を表したことはいうまでもありません。
しかし、世の中にはまだまだ知られていない衝撃(笑撃)シーンがあるものですね(笑)。
さて、色々とゴタゴタもありましたが、いよいよ主人公は外へ出ます。
屋敷の中でさえ色々とゴタゴタ(洒落)があったのですから、これは期待出来ます。
近くにあった村に入り、入り口近くにあった酒場に入りました。
酒場に入ると、何故か日の丸の鉢巻を巻いたバーデンさんが出迎え
てくれます。
そして、「客に話掛ける」「ビール(1G)」「ワイン(3G)」「店を出る」の四つの選択肢が。
何も知らない光の王子様は、迷わず「客に話掛ける」を選択。
するとどうだろう。光の王子様は、日の丸鉢巻のバーデンから情報の代わりに、こんなありがた〜い台詞を頂きました。
「まずはお酒を注文してね。ここはお酒を飲むところだよ」
そう、世間知らずの王子様は、酒場とはてっきり「只で情報を集める場所」との思い込みがあったようです。
その思い込みに対して、日の丸鉢巻のバーデンのこの言葉は核兵器クラスの破壊力を
持っていることは言うまでもありません。
まあ、考えてみれば当たり前の事ですね。
現実の酒場で、お店に来ておきながら、酒もたのまないで他の客としゃべくりまくった挙句、結局何も注文せずに
店を去ったら、その店の主人はどう思うでしょうかね?
まあ、まず間違いなく、「冷やかし」の烙印を押されるでしょうね。
そして、そんな当たり前の事すら分からないRPGの主人公は、言うまでもないですがかなり多いです(ていうか、RPGの
主人公に限って言えば、こういう常識を守っている人の方が珍しい)。
そして、街を出て、近くの森に入ります。
何故か森の中でも颯爽と白馬に乗って移動している我らが光の王子様
ですが、しばらく進むと、敵と遭遇しました。
敵は追いはぎ二人。大して強くないので、Lv1の光の王子様でも楽に勝てます。
で、あっさり戦闘終了。
経験値を得て……次に得たものは………小銭入れ2つ。(恐らく追いはぎ君の)
おいおいおいおい光の王子さんよ、冒険の資金が欲しいのは分からんでもないですが、
それじゃ自分が追いはぎですよ。
最も、この作品では、他のRPGにように、敵を倒すと自然に金が手に入るという仕組みにはなっておらず、
一部の敵が必ず落とす金目の物を拾って(例:べとべと珠、王ライオンの毛皮等)、それを売り払って
収入をえるというシステムになっております。
序盤での最大の資金源は、追いはぎ達から文字通り強盗した小銭入れですので、主人公サイドに
とってみれば、選択肢はあまりないのですが。
こうして、強盗行為で懐をあたためた光の王子様は、弟である闇の王子を探すため、光のバー
(一角人がくれた、闇の王子の居場所を指し示す道具)の指し示す方向へ向いました。
その道中で行く手を阻む山脈を越えるために洞窟を抜けるのですが、途中で中ボスらしき敵三体が現れました。
早速戦闘態勢に入る……のですが、モンスターの名前を見て思わず吹き出してしまいました。
その中ボスのモンスター名とは……ばるばる
な、なんて直球なネーミングなんだ……。
しかも、本作ではこのようなナイスなネーミングをした敵がたくさん出てきます。
(例:べとべと、ぐつぐつ、赤風(仮面の忍者、赤風!とでもいいたいのか……)、極悪人等)
しかも、街の人の話を聞くに、「べとべと」や「ばるばる」といったいわゆるスライム系の敵の名に関しては、
俗称ではなく、正式名称らしいです。
この世界の生物学者、いくらなんでもネーミングセンスがストレート
過ぎやしませんかね?
その後、洞窟を抜けた後に山道を抜けて、ようやく山脈の向こう側で出ることができました。
出たのはいいが、ふもとの森では、今度は山賊の一味に焼き討ち(そのまんまの意味)に遭いました。
そして、その危うい所をある少女に助けてもらいました。
彼女の名前はアスティ。ハーフウッドフェローの少女(ウッドフェロー:森を住処とする一角人の亜種(角が無い)。
生まれた時は人間で、年を取ると木になってします)です。
そのアスティの勧めで、彼女の知り合い(先生?)のエテカノ師に話を聞くことに。
そしてそのエテカノ師から、「力の水をくみにいった孫が行方不明になった。助けてくれ」と頼まれました。
ようするに、「人助けをしろ」ということです。
ここで、以下の四つの選択肢が現れます。
「わかった」「考えさせて」「いやだ」「アスティを見る」
・「わかった」
特になし。そのまま先に進むだけ
・「考えさせて」
「まあ、じっくり考えるが良い」とエテカノ師は言って、選択肢選択画面に戻る
・「いやだ」
エテカノ師の方はどうあっても主人公に孫を助けてもらいたいらしく、足を絡め取ったりして「わかった」を選ぶまで
その場を動かせてくれない。
それだけならまだいいが、ちょっぴり気分を害したらしいエテカノ師はなんと主人公の有り金全部
巻き上げてしまう。
もし有り金巻き上げられてセーブしてしまったら(ちなみに、有り金巻き上げられたというメッセージは非常に遠まわし
な言い方をされるため、私が金を巻き上げられたのに気が付いたのは先の村で酒を一杯やろう
として「お金が足りないよ」といわれてからです)、素直に諦めましょう。
なに、大丈夫です。ちゃんとエテカノの爺に仕返しする方法はあります。
(それについては後ほど)
・アスティを見る
一回目「なによ。女の子の顔色を一々うかがわなきゃ、物も決められないわけぇ?」と毒づかれる。
ちなみに、その後に続く「まあ、アスティの顔をみているのは、結構いいかもしれない」というナレーション
がいい味出している。
二回目「「むかっ!」アスティは膨れた」
三回目「あっかんべーだ」
四回目「「まったくしょうがないわね……(何が?)」アスティは膨れた」
まあ、いつまでもここで遊んでいては切りがないですから、先に進んでしまいましょう。
その後、連れ(アスティ)がいるっていっているのに、村娘を堂々とナンパしたり、
襲ってきた王ライオンの毛皮を何の遠慮もなく剥いで金に替えたり(それって「密猟」
って奴?)と、他のRPGでは味わえない、中々粋な物語が楽しめます。
そして、一章(言い送れましたが、このゲームは5章仕立て)の終盤、山賊の本拠地の中での事。
中庭にあった、一つの井戸。この井戸の水を汲むと、アスティがこういいます。
「なにこれ……毒の水よ」
へ〜。毒の水ですかい。
この毒の水、山賊のボスを倒すと手に入る「力の水」同様、先のエテカノ師に与えることが出来ます。
無論、こんなの与えるとエテカノ師は苦しみます。
さあ、そこで先ほどエテカノ師に金を巻き上げられた方々、今こそ復讐の時ですよ☆
盗賊の本拠地から毒の水をピストン輸送でエテカノ師の所までもってゆき、心ゆくまで毒の水をぶちまけてやりましょう。
苦しめ!もっと苦しめこのスリ野朗!!といった、主人公心の声が聞こえてきます。
(もっとも、強盗や密猟に手を染めていたあんただって、人のことはいえんがね)
……話を戻します。
そして山賊のボスを倒し、力の水を与えてエテカノ師を元気にし、山脈を越えて弟のいる場所付近までいって、
第一章は終了。
あ〜。第一章だけでも突っ込み所が多すぎて疲れた。
続く第二章は主人公が闇の王子(ギロー)に変わります。
このギロー君、闇の王子という割には、推定20代にして一戸建てのマイホーム
を持っていたり、何より、近くに気立ての良くて、その上性格も優しい
幼馴染の女の子(リラ)がいる等、闇の勢力に捕らわれた身にしては、庶民的ではある
が、中々幸せな生活を送っていたりします。
この後、彼は住んでいる村を抜け出そう(彼には村を抜けられない呪いみたいのが掛けられている)とします。
以後も中々突っ込み所満載な物語が続くのですが、これ以上書きますとネタバレになる
恐れがありますので、出来れば自分でご覧になることをお勧めします。
(本当の理由は筆者が疲れたから、というのは国家機密です)
いかがだったでしょうか?
この作品がマイナーゲームの世界で「帝王」として(一部に)崇められ、かつWin版「英雄伝説4」
と互角以上に渡り合った理由が少しでも皆様方に伝われば、筆者としては幸いです。